ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

『ピンクとグレー』

とりあえずパソコンにメモが残っていた、『ピンクとグレー』の感想を投下。こちら以前のブログにも投下しましたので、広いネット界ですがどこかで同じものを読んだかたもいらっしゃるかもわかりません。

ピンクとグレー

ピンクとグレー

芸能人が描く芸能界の世界にしては辛辣で絶望的で、どういう思いでこの本を書いたのだろう、とまず思ってしまった。

シゲのことはほんとにすごく好きで、そして、私は、好きな人が作ったものは無条件で好き!ってなってしまうので、たぶん私の感想には、客観性とかはあまりないだろうなと思う。そういうことを考慮してもやっぱり、好きな物語、だった。
あと全体的に出てくるものがシャレオツで私には分からないものが多かった。笑 場所とかも。分からなくても面白いんだけど、分かったらもっと面白いんだろうな。いつか場所観に行きたいな。

ストーリーに関しては、同じような世界に今いるひとがその世界をまさかこういう風に描くなんて思っていなかったので、ほんとに驚いた。そういう意識で生きているのか、それとも芸能人とは別の脳みそを使って書いたのか。その背景が気になってしまった、シゲファンです。シゲファン、ニウスファンじゃなかったらどういう風に思ったのかな。

ってかピングレ…読みながら、もしや、って思ってたけど、調べたらやっぱりそうだった!なんて私得!みたいなネタがあった。

続きはネタバレガンガンありです。


前述の「私得」というのは、ジッポの話です。
登場人物ごっちとりばちゃんのキーアイテムになっているジッポは、木曜10時にやってた報道フロアが舞台のドラマの主演俳優が持っていて憧れたという設定なんですが、それがおそらく、福山さんの美女か野獣
福山ファンなので、もう、「ええええええ!!!!」とたぎりました。
というのは、この話だいぶシゲの実体験みたいなのが入ってるので、「シゲも福山さんにあこがれたのか?!?!?!?!」という興奮が。まあそれが実体験かどうかはわかんないですけど。シゲの頭のなかに福山さんが思い浮かんで書いたのならそれはすごく萌えるなと思ったのであった。

ストーリーの話。
最後が、やっぱり、強烈。
どうとでも解釈できる終わりかたがすごい。表現力、文章力というのもあるけど、ああいう終わりかたにしたことで人によって解釈が違って、それで物語全体の見え方がガラッと変わってくるというところがすごい。

あそこでりばちゃんが事故死してしまうとすると、りばちゃんとごっちは死ぬことでしか分かり合えなくて、そんな二人の末路から見えてくる世界の圧倒的な大きさが主題になる。
全体の話の展開からいえば、きっとりばちゃんの死は映画の宣材として利用されて、映画は大ヒットするという流れが浮かんでくる。二人の青年の死を犠牲にして華やかに光を放つ芸能界という図式。それが良いとか悪いとかじゃなく、そういうものなんだよ、という突きつけられる真実がただそこにあるだけ。

でも、もしりばちゃんが生きていたら。絶望的に素晴らしい世界で、ごっちのすべてを理解しようとしていたりばちゃんがすべて理解したその瞬間に、新しく生まれ変わる、青年の絶望からの再生という物語になりうる、と思う。
NEWSの「星をめざして」の歌詞みたいにね。一度死んでまた生き返る。目覚めたら君がいて、ぼくは生まれ変わった。

最後の部分だけ何度も何度も読み返してるんですけど、読めば読むほど、りばちゃん死亡説がやっぱり濃厚かなあ…と思ってしまう。ごっちに抱きしめられるというのと、最後の章だけ「139日」という具体的な日にちが入っているから、死んだってことを暗に表現したいように思える。

でも、私はやっぱり生まれ変わった説を信じたい。シゲファンだから。笑

この小説って、前評判は「ごっち=山下くん りばちゃん=しげ」とさんざん言われてて、もちろん設定は全然違うし、私はいまでもあんまりごっち=山下くんはぴんとこないんだけど、りばちゃん=シゲっていうのはなんか納得しちゃうんですよね。
で、なのにりばちゃん死亡説にしたらシゲ死んじゃうじゃん!!っていうのがありまして。ただのファンやないかーいって話ですけど。
でもそれと同時に、シゲがそういう風に思ってるのだとしたら、それは私が責めることでも文句をいうことでもないけど、すごく悲しいなと思ってしまうんです。生まれ変わってもらいたい。今なんてほんとニウス、正直死んだみたいな状況だから…ニウスとごっちは一緒じゃないけど!でも!シゲが芸能界という世界に対してそういう印象かーと思うのはちょっとつらいので。つらいだけで、べつにそれが悪い!とかもっとポジティブに生きろよ!という筋合いはないし訴えるつもりもないけど。ただ寂しいなって。でも同時にそんな世界で生きようって思ってくれてるのはたしかにうれしい。あ、結構うれしいかも。何を言っているか分からなくなってまいりましたが。

シゲの舞台「セミナー」の最後のシーンが印象的だったから余計に、「生き返ってほしい」とそう思うのかも。あれも、生きるか死ぬか、どっちとも解釈できると考えているので。
セミナーとピングレ、全然違う話だけどなんか似ているように思ってしまう。シゲを通してみているからか。

あまりにシゲに感情移入してしまうと死んだ説は途方もない悲しさを呼び起こしますが、シゲということをおいといて見てみれば、やっぱり自殺説がすとんとはまるのかなー。
でも再生だって、一度死なないとできませんからねえ。
最後の文章が現在形だし、生きてる説でも読めるようには書いてるのかな。
死んで、生き返った、って思えばいいのかな。
死んで生き返る世界っていうのもとても美しいよね。うんうん。
眩しさは生きてないと感じられないし。
生きててほしいなー。

全体的な文章は…石田衣良っぽい?少なくとも伊坂幸太郎ではないなーと。笑
場所の描写を読んでるときにちょいちょい文字が滑っていくように感じてしまったけどそれは眠かったからかも知れません。でもちょっと複雑すぎて分かりにくいところはあったかな。

でも面白かった!超考えた。シゲのことますます好きになりました。