ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

『民宿雪国』

民宿雪国 (祥伝社文庫)

民宿雪国 (祥伝社文庫)

加藤シゲアキくんがサタジャニかなんか、新聞に出たとき、本棚にこれの単行本が入ってるのが映ってましたよね。おぼろげな記憶ですけど。
こないだBurnのポスターとかパネルとか見に渋谷の本屋に行ったらシゲフェアーみたいなのをやっていたので、記念に、と購入。
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あとがきのページが結構長かったけど、あの厚さにしないと文庫にならないとかなんかあるんだろうか……

それはともかくとして、内容!面白かった!タイトルからして雪深い山奥での民宿の静かな話……かと思ったら全然そんなことなかった。そういえばそういう作家さんではなかったですよね……さらば雑司ヶ谷、を読んでおいて、私はいったいなにを考えていたのだろう。笑
「えっそうなるの!!!!」っていう驚きが何回もあって目が離せなくて続きが気になって仕方なかった。
インタビューとか取材とか日記とか、いろいろな形態の文章でもって1人の「丹生」という男の人生をあぶりだしている構成。でもそれは、「その人から見たらこういう人だったけど、」という見方捉え方によってまったく違う人物像が描かれるという問題ではなくて(永遠の0みたいなね)、もっと根深くて暗くてドロドロしてねちっこい展開。ゾクゾクするよ。
登場人物の行動について、良いとも悪いとも言わないけど、ただ、死ぬんだよね。悪い奴は死ぬ。分かりやすいと言えば分りやすい。分かりやすすぎるとも言えるかも。だからちゃんと考えないと本当の怖さとか面白さとかは分からないのかもしれないけど、表面上だけでも十分面白いな、と思った。出てくる映画とか絵とか知ってたらもっと面白かったのかも。
全体をとおして、「自分の頭で考えろ」というメッセージを、私は勝手に受け取りました。
シゲの小説3部がこの作品に似てるとか影響を受けているとかは思わなかったけど、なにか既存の作品とくに映画や音楽、をなぞっていたり踏まえていたりするところは使い方として似ているかも、と思った。