ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

『Nのために』湊かなえ

Nのために (双葉文庫)

Nのために (双葉文庫)

それぞれが抱えた過去と、救ってくれた人への感謝とが行き交って複雑なストーリーを織りなしていて、それが1つ1つひも解かれていくのが読みごたえがあった。
湊さんは、『告白』は救いがなかったけどそのあとの作品はわりと最後にすくいあげられるところが、読んでいてホッとするので、好き(少女は違うかな?)。
主要登場人物4人(大学生)が、子供のころから与えられた環境で一生懸命に生きて、救ってくれた人には与えて、愛していくさまが美しかった。
関わらないようにすること、犠牲になること、そういう形での「究極の愛」が苦しくて切ない。
希美と望が同じバイトで朝日を見るところがお気に入り。