ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

閃光スクランブル(角川文庫)

 

閃光スクランブル (角川文庫)
 

 言わずと知れたシゲアキ先生2作目の作品、の文庫化。

「それは恋とか愛とかの類じゃなくて」はピングレを代表する名フレーズですが、シゲの小説に出てくるメイン(※多少悪役はいる)の登場人物たちはみんなあたたかくて素敵な関係性だ。恋でもなくて愛でもなく、友情と名づけたらきっと彼ら彼女らは首を傾げるだろう、そんな名前をつけることが難しいものがありのままに描写されてる。

 改めて読んでみると、ピングレが映画的な構成になっているのに対して、閃光スクランブルはどちらかというと小説的な構成のように思えた。視点がくるくると変わり主要登場人物2人のモノローグが入ってくる。

シゲの特徴である映像的な捉え方を継承しつつ、ピングレとは違うアプローチの方法を模索している感じ。少しずつ作家としての枠組みを拡げようとしていたんだな。

続きは、文庫版あとがきの感想など。

今回はアイドルものということで、性別は違えどやはりどこかニウスのことを思い浮かべながら読んでしまったのですが、あとがき読んだら、ちょうど閃光スクランブルは書いたのがニウスの4人のコンサート前で、ダンスとかを練習しているときだったということが書かれていた。

ファンが勝手に物語にシゲを重ねてしまうこと、最近はときおり申し訳なくも思うんだけど、シゲ自身が「自分を重ねて書いたよ」と教えてくれたことで、そうやって読んでしまってもシゲは怒らないんだなってちょっとほっとしました。 

 シゲの小説はシゲの人生と寄り添っているなあ。ドラマチックで面白い。