ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

『望郷』 湊かなえ

 

望郷 (文春文庫)

望郷 (文春文庫)

 

 因島出身の作者が語る島の世界は、私にはなじみのない場所だったけれどきっとどこかにあるんだろうなと思わせるような現実味を帯びていた。

短編集で、1つ1つが起承転結があって中身がとても重い。

その分、続けて読んでいると引きずられるし、同じ話ではないんだけどなんか似たような話に感じてしまう面もあり。連載とかで雑誌で読んでたら、短い文字の中でぎゅっと詰め込まれた人間のいろんな面を読めるゾッとする話だったんだろうけど。そのゾッという感触がずっと続いていくと慣れてしまうというか。

面白かったんだけどね、読み方が違ったらまたより面白かったんだろうな~。

『Endless SHOCK』を初観劇して映画版ピングレを想った話

一度は観てみたかったSHOCKを、友達にチケット取ってもらって観てきました!

 

www.tohostage.com

 

ストーリーを全然知らなくって驚いたツイートがこちら

 

華やかなんだけど熱いメッセージもあって、友達が「ジャニヲタ必修科目」と言っていたのもうなずける……。ショー、ミュージカルとしてもそうなんだけど、テーマ自体もジャニヲタに響きそう。

SHOCKに関してはストーリーすら知らないからジャニヲタの間でどういう位置づけなのかもいまいちわかってないけれど、これ見ながら自担とかその周りに思いを馳せたりはしないものなのかな?SHOCK初めて見た人の感想をあまり観たことがないもので……。

SHOCKはブロードウェイの話だけど、エンターテイメントというつながりで、私は日本の芸能界やジャニーズ事務所の世界を重ねて観てしまった。

そして以下のツイートにつながるわけです。

 

  

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原作の大ファンではない人が見た映画『ピンクとグレー』について

お正月の嵐の番組で大野くん、長野くん、シゲ、伊野尾ちゃんでかまくらの中で料理を食べるというウルトラハッピーな企画があったが、その番組を一緒に観ていた妹と母親がシゲの小説に興味を持ってくれた。

嵐って、テレビって、すごい。大感謝……圧倒的感謝……と唱えながら私は妹と母親のそれぞれの部屋にそれぞれ「ピンクとグレー(ハードカバー」と「ピンクとグレー(文庫)」「閃光スクランブル(ハードカバー)」を置いたのであった。文庫版閃光スクランブルを置かなかったのは単純にそのとき私がまだ読んでいたから。

で、妹は原作を読み終え、原作を読んでいない友達と一緒に観に行きました。

 

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ピングレ感想記事のメモ

前回のブログを書き終えて、ようやっとほかの人のブログを読みに行ける~と思いつつ、あんまり探せていない状況なんですけども。

みんな、感想はどこかにあるという感想専用の掲示板で書いてるのかな。

メモがてら読んだブログ記事を。

 

私の書いたこと、思ってることに一番近くて、「そうそうそれ~~!!」ってなったのはちょこさんのブログで。私、ちょこさんのブログ読んでから感想書いたかな?って思うぐらい私が思ったことを言葉にしてくださっていた。

hoorayhooray.hatenablog.com

 

なるほど~!!と思ったのはきょんさんのブログ。主に構成(設定)と登場人物たちの気持ちについて。

marshmallow114.hatenablog.com

 

こちらのブログも「なるほど~」と思いました。原作との違いについて。

penguinpg.hatenablog.com

 

面白い感想記事ほかにもあるのかな~まあいっぱいあるんだろうな~。教えてください。

箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ

 

 11月、12月になってくると仕事のしんどさから「あと2か月で箱根、1ヶ月で箱根……」という謎のカウントダウンを心の中で始める。正月はこたつでぬくぬくしながら箱根駅伝を見るのがさいっこーの楽しみだ。200kmの中にあるたくさんの人間ドラマに感動して泣いて笑って、青学が勝ったら担当の母校というだけで喜んで(私は箱根とは過去も未来も縁のない女子大出身)。

青学が初優勝するまでの軌跡がメインだけど、それだけではなくて東洋や早稲田、駒沢、山梨学院、中央などなど、たくさんの大学について書かれているのが面白かった。いまや東洋や青学の物語が有名になりすぎてほかの大学について実況で語られることってわりと減ってきてしまっていると思うんだけど、どこの大学にもドラマはあって、それは選手の高校時代、はたまた監督の大学・高校時代から連綿と続いていくんだなぁと改めて実感した。

箱根駅伝は、歴史だ。とても長い歴史を持つスポーツの大会だ。

テレビ中継されて大学の宣伝要素として使われていても、主人公はいつまでも大学生たちで、その一人一人に人生があって過去と未来がある。

 

ピンクとグレー(映画)

pinktogray.com

 

シゲが書いた文字がシゲの大好きな『映画』という媒体になって話題になって広がっていくことを数年前に誰が予想出来ただろうか。その事実だけで胸がいっぱいだ。

とはいえ、よ。とはいえ、原作と作家の大ファンからしてみれば、わりと驚く演出や設定も多々あって、「嘘でしょ」と思ったシーンもあった。観終わってからもわりと悶々としていたのだが、ツイッターで多くが言及していた「行定監督の二次創作」という表現がすとんと腑に落ちた。そうだ。ピンクとグレーの設定を下書きにして組み立て直して、余白を描いた作品だった。

こういう「ピンクとグレー」の世界があったことに驚いた。

ちなみに「62分後の衝撃」については、腕時計とかみながらそわそわその瞬間を待っていたのですが、時間確認しなくてもすぐに「こ、これが噂の衝撃か~!!!」と分かるので無問題でした。

 

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閃光スクランブル(角川文庫)

 

閃光スクランブル (角川文庫)
 

 言わずと知れたシゲアキ先生2作目の作品、の文庫化。

「それは恋とか愛とかの類じゃなくて」はピングレを代表する名フレーズですが、シゲの小説に出てくるメイン(※多少悪役はいる)の登場人物たちはみんなあたたかくて素敵な関係性だ。恋でもなくて愛でもなく、友情と名づけたらきっと彼ら彼女らは首を傾げるだろう、そんな名前をつけることが難しいものがありのままに描写されてる。

 改めて読んでみると、ピングレが映画的な構成になっているのに対して、閃光スクランブルはどちらかというと小説的な構成のように思えた。視点がくるくると変わり主要登場人物2人のモノローグが入ってくる。

シゲの特徴である映像的な捉え方を継承しつつ、ピングレとは違うアプローチの方法を模索している感じ。少しずつ作家としての枠組みを拡げようとしていたんだな。

続きは、文庫版あとがきの感想など。

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