ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

SORASHIGE BOOK 11/03 音楽部

2019年文化の日のラジオで黒木渚さんのお話をしていたので、書き起こし。

 

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黒木渚さん。このラジオでも二度ほどかけてますね。
まあ、知ってる方も多いと思うので改めてってこともないんですけども。
黒木さん実はあの、ご病気をされてですね、ちょっと休んでた時期がありまして。2016年に咽頭ジストニアというまああの、うまく筋肉というか、脳の指令とちよっとずれちゃうっていうのかな、僕の解釈ですけどね、歌手にとってはとても大変な病気なわけですよ。かといって、なりやすいというか、危険性、歌手の方でなるかたはとても多かったりする、そういう病気。
治療に専念されていたわけで、このたび4年ぶりにやっとリリース、ま、その前から先行配信とかは当然あったんですけど。ミュージックビデオとかね。
今回そういうわけでとても僕も楽しみにしてきた。
またね、黒木さんはタフでいて、この間にずっと小説をかかれていたわけですよ。2017年に刊行してから4冊だしていて。次、この、すごいのよね、つぎ、もう、笑っちゃうんですけどすごすぎて、あの、次5冊目が出るっていう。
2017年ってぼくだって、チュベローズですよ笑 
それから僕刊行してないのに、その間で笑
もちろん環境は違うけれど、すごいスピード感ですよね。
で、11月5日に、明後日か。11/5に檸檬の棘という小説が出る、しかも今回自身初の私小説だそうです。
この、檸檬の棘という小説のタイトルと実は同じアルバムが、10月9日に出たんです。
つまり檸檬の棘というアルバムタイトルでございます。そして檸檬の棘という曲もあるわけです。
どういうことかと、ちょっと思いますけどね、非常にこう、密接な関係の二作品というか。まあ僕も、ねえ、僭越ながら作家業やってると、そういう気持ちはわからないではないんですよね。この小説から生まれる曲ってもんもあれば、曲から生まれる小説っていうケースもあるんでしょうけど。
今回、黒木さんはご自身のブログの中でも、こう、もともと、小説の方が先にできていたと。うん。そこで感じていた音みたいなものとか、書き終えたあとに思ったこと、みたいなものを、音楽にしてアルバムにしたという流れだそうですね。
そういう意味でいくと、また、読んでみたくなるというか、より深く楽曲に対する理解ができるのかもしれません。
もともと黒木さんあの、哲学も習っていたようなところが…ポストモダン!失礼しました、ポストモダン文学を研究していたところもありますからね、英米文学。
言葉に対する、なんというか、興味というかね、感性が非常に、もともとあるわけです。まあ、それは曲を聴いたかたはみんなわかると思うんですけど。
今回それが4年の期間でどういうふうな変化があったのかなと個人的に思っていたのですが、なんか、健在って感じでしたね。黒木渚力健在みたいな。健在って感じでしたね。ほんとに、檸檬の棘っていうタイトルからも非常にこう分かる通り、なんかこう、甘さと辛さ、痛み苦味みたいなものと、じつと(?)、なんていうか、そういう、甘さ、幻想的なものと、痛みや苦味みたいなものがほんとに同居した詞を書く、その色使いが、まあほんとに、曲によって、それが、言葉でももちろんそうなんですけど、音楽性にも現れているという、ちょっと不思議なこう、マーブルのような作品が多いアーティストだなーという、僕の中での認識ではあるんですが、今回はほんとに、どの曲をかけようかねぇ。結構間が空いたので以前リリースされていたものも結構入っていて、正直どれをかけようか迷うところもありましたね。
ぜひ、どれも聞いてほしいなと思うんですけど。まさにマーチングみたいな曲のアレンジだったりとか、すごくキュートなものもあったりするし、こうスケールのでかいロックだったりとか、90年代ビジュアルバンドみたいなものを彷彿とさせるサウンド感もあったりとか。結構ほんとに幅広く楽しいアルバムになってるかなと思いました。
まーせっかくなのでやっぱり檸檬の棘を聴いてもらった方がいいのではないかなと思います。
とても物語のような詞になっていてですね。
いやなんか、前々から思ってたんですけど、黒木さんってこう、戦ってる感じっていうかね、荒野で鎧着て、ジャンヌダルクみたいなイメージがあるんですよ。
まさにそういうふうなミュージックビデオ撮ってるっていうところもあるんですが。
今回も戦って戦って戦っていかなくちゃというサビだったりもするからかなぁ、本人もそういう意識が高いのかもしれないですけど。
ジャンヌダルク的な、なんか。んー。また最後の方に言葉で、
水になって炎になって風になってとか、鳥になって獣になって魚になってとか、そういうフレーズ感、ほんとにあの、そう意味では、生きることの甘美と苦味をほんとに、同時に体現している。
小説の中でも、ほんとは書きたくなかったことを書いてるとおっしゃってるので、まだぼくは未読でございますが、きっとこういう、黒木さんのようなアーティストのおかげで救われる方もたくさんいるのではないかなと思うのでね。戦ってる姿で励まされるかたもきっといると思うので、ぜひぜひたくさんのかたに聞いてほしいなと思います。
えーというわけで、小説とね、同タイトルのアルバム、そしてその同タイトルの曲をかけたいと思います。
黒木渚檸檬の棘。

 

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黒木渚さんとのであいは深夜の音楽番組で流れてきたデビュー曲「あたしの心臓あげる」だった。強烈な曲だなと思ったんだけど、その翌日ぐらいに観に行ったまっすーの舞台「ストレンジフルーツ」がまさにそんな強烈な話だった。そんな相乗効果の影響もあって、黒木渚さんもストレンジ・フルーツもとても好きです。

なんで好きなんだろう、どこが好きなんだろうってあらためて言語化することってないけれど、加藤さんみたいに真摯に向き合って分析するとまた想いが深くなって世界が広がるんだろうな……と思った。

そんなわけで、加藤さんの黒木渚評を残しておきます。

 

黒木渚さんのイメージは、加藤さんがいうように「ジャンヌダルク」が近い。まっすぐで凛とした声で、どこまでも、進んでいく。

彼女の行き先を見続けたいなと思っています。