ロマンはどこだ?

そのとき思ったことをなかったことにしないために

モダンボーイズ感想とメモ

4/11 いろいろ修正
 
いや~~~~~良かったですね。
シゲにこの役を持ってきてくれて本当にありがとうございました。よい話でした。
配信してほしい。どうか。どうか頼む…!
 
今のシゲだから、加藤シゲアキだから観られる舞台。奏くん。
余裕のあるかっこいい役が、こんなにも自然なんて。というか想像以上だった。申し訳ないぐらいに。こんないい舞台を自担に良いんですか?!?!ありがてえ。
浅草エフリィはキラキラ、ギラギラ、輝いていた。求心力とオーラと美貌を兼ね備えた男。浅草エフリィ。
良いんですか、自担に?!すごい。
4/7発売号の文藝の横内さんから加藤さんへのリレー書簡で書かれていた、加藤さんが語っていたという覚悟。たしかに伝わってきたよ。
レビューをやる前の、「早稲田の学生、矢萩奏」くんもかわいかった。
つい先日『推し、燃ゆ』を読んだんですけど、その一節にあった
「からす、なぜ鳴くの、からすはやまに、かわいい七つの子があるからよ、の歌にあるような『かわいい』だと思う。守ってあげたくなる、切なくなるような『かわいい』」
これがたいへんしっくりきました。
 
感想を書く才能がないのでちょっとストーリーを全部書きだしますね。というかそれぐらい、好きなポイントが多すぎるので。
シーンは多少前後してるかもしれません。
 

 

 物語は活動弁士松井一声(加藤虎之介さん)による時代説明から始まる。途中からトーキーになって役者さんの発声になるまで全部虎之介さんが演じてた。すごい。のちのち周りのひとに「弁さん」って呼ばれてた。
映像ものはこのあとトーキーになるので、楽士(ピアノ)の和田純(みんなにフルネームで呼ばれてた。カトシゲみたいなニュアンス)と弁士の松井さんはクビになってしまう。和田純は「浅草のインチキレビューにでも行くかな」って言ってるんだけど、それでエノケン一座に来るという流れ。
 
日中戦争前夜、浅草のレビュー小屋。座付き作家の菊谷栄に、同郷(青森)の友人・工藤がプロレタリア革命を志す同じく青森出身の学生・矢萩奏を紹介する。(公式サイトより)
早稲田大学の奏くんは学ランに制帽姿。まさか加藤さんの学ランを再び見られるとは…!
新人踊り子の夢子ちゃんと和田純と、工藤さんと奏くんが舞台上に。和田純に尻を触られて、夢子ちゃんは手に持っていた、先端にチョウチョのついた棒をぶっ放す。それを拾い上げて(4/11はキャッチしてた。いつもそう?)びよんびよんさせて遊ぶ奏くん。急に幼い笑顔してて子どもみたいでかわいかった。夢子ちゃんが去り、和田純はすみっこで緞帳被って寝始める。
奏くん「工藤さんは、レビュー観たことあるんですか?」
栄蔵に言われて一度みたけど、くだらなかった、と答える工藤さん。
そこに菊谷先生現れ、菊谷先生・工藤さん・奏くんの3人で会話が進んでいく。
菊谷先生は工藤さんの資金援助をしている。このときも工藤さんはお金をもらってた。工藤さんが菊谷先生に「集会に来い」というんだけど、菊谷先生は特高による台本の検閲があり、台本書き直しで行けないんだと答える。
工藤さんが菊谷先生に奏くんを紹介。津軽の出身だ と告げると、菊谷先生はうれしそうに津軽弁で奏くんに話しかける。
奏くんは青森で家にピアノもあるような裕福な家庭の生まれ。育ちの良さがにじみ出てた。裕福さについては工藤さんに「太宰と同じで」、って言われてたね。
コーラス部だったけれど東京に来てからは音楽を聴いてない。菊谷先生に「もったいない!ジャズもクラシックもあるのに!」と言われるけれど、奏くんは「そんなことしてる場合じゃない(ニュアンス)」みたいに反論。貧しい人たちがいまも苦しんでいる、と。
裕福な家庭の生まれで自分だけが恵まれていることを恥じる奏くんに、菊谷先生は「幸福を恥じることはないと思うがね」ときっぱり。大人……。
工藤さんは「レビューなんて低俗」と思っていてそれをはっきりと菊谷先生に伝える。菊谷先生は反論はしないけど、「僕はいい加減な気持ちでレビューをやってるわけじゃない!」と宣言。先生は、相手のいうことは受け入れていつも柔軟に対応するんだけど、自分の筋は絶対に曲げない。
ここらへんで和田純と工藤さんが言い合いになってたな。菊谷先生はそれもちゃんと止める。できた大人なので……。
このシーンも含め、全編とおして菊谷先生がとにかくできた大人で、かっこよかったな。菊谷先生のこと誰だって好きになるよ…!
 
菊谷先生「また来てくれ。友達じゃないか」
工藤さん「俺はお前を、同士だと思っていたよ」
去ろうとする工藤さんと奏くんの前にぶつかるように出てくる若手踊り子2人組。露出度の高い衣装を着る2人に囲まれて固くなる奏くん。かわいい。
そのあと夢子ちゃんが、さっき放り投げたチョウチョの小道具を探しに走り込んでくる。かわいいかわいい夢子さんに近づかれて「以後お見知りおきを」とあいさつされ、ドキドキしちゃう奏くん。女性慣れしてないしぐさがかわいい。
 
ベテランの女優さんたち2人が登場。(鎌倉乙女と三条綾子)
松井さんは、「踊り子のヒモは楽だぞ」と誰かに言われ、弁士から踊り子のヒモに転職していて、乙女さんの肩を揉んだりタバコに火をつけたり。喫煙シーンは加藤さんじゃなくって、鎌倉乙女ねえさんでした。
夢子ちゃんを呼びつけ、ダンスを踊らせて転んだところをイビる先輩たち。
こういう小屋ではこういうことはつきものだから頑張れ、と励ます松井さん。結局松井さんはヒモに見切りをつけ、この場で退職してしまう。
どんなにいびられてもなかなかうまくならなくても、夢子ちゃんはここを辞める気はさらさらない。
「菊谷先生は言っていたわ。レビューは薬だって」
 
デッパくん(きづきさん)とエゾケンさん(坂口涼太郎さん)が登場。(なんでデッパって名前なんだろ?って思ってたけどロッパのもじりですね)
2人は「踊る毛虫」を育てていた。
菊谷先生はジャズレコードなんかを買い付けているから船乗りとコネクションがあり、その船乗りから聴いたという、「音楽にあわせて踊る毛虫が10万ドルで売れて劇場を立て直した」というエピソードを実現させるために。
佐藤さん(エノケン一座の文芸部長)も、そういうことを馬鹿にするでもなく、ふんふん、と話を聞いて協力的。観ていてほっこりした。
菊谷先生も交えて、毛虫のオーディションを始める。
佐藤部長「じゃあまず足を見せて」 ←夢子ちゃん加入シーンでも同じことを言っていた
菊谷先生とエゾケンくんが「いやいや脚見えてるじゃないですか」とわいわい冗談交じりで盛り上がるんだけど、「まじめにやってくださいー!!!」と地団駄を踏み本気で怒るデッパくん。ごめんごめんと謝る3人。
デッパくんが歌を歌うことになり、「東京行進曲」を高らかに歌い始める(ちょっと音程ずれてる?)
エゾケンくんが「もっと相手に伝えるつもりで歌わないと!!」と注意する。で、エゾケンくんとデッパくん2人でコミカルに、「これが自由というものか」を歌い始める。2人の息の合った見事な出し物に拍手する佐藤部長と菊谷先生。菊谷先生と佐藤さんは二人ばっかり見ていて毛虫チェックを怠ってしまう。
「この二人はなぜこの面白さを舞台で出せないのかねえ」と言いながらはけていく菊谷先生と佐藤部長。
 そこに、屋根裏の楽屋からベテラン女優2人がピエロの恰好で登場。
2人は「なぜこの格好?!」と激怒し、演出助手の兵吉(溝口琢矢さん)に「全員この格好ですから」とたしなめられる。
でも「お姫様以外は」と話は続いたところで、お姫様姿の夢子ちゃんが現れる。
再び現れた佐藤部長も「イメージ通りだ」と大絶賛。
菊谷先生は夢子ちゃんに「今はきれいな衣装で成り立っているが、努力を怠ってはいけないよ」とアドバイス
かつて乙女姉さんのヒモだった松井さんがバラの花束を持って現れるが、捧げるのは乙女姉さんではなく夢子ちゃん。松井さんは転職して株屋をやっていて、大儲けしてるので気前が良い。
 
ある日、矢萩が警察に追われて劇場に逃げ込んでくる。(公式サイトより)
デッパくんとエゾケンくん2人の前に、突然、血まみれで飛び込んでくる奏くん。白シャツに学ランのズボン?黒いズボン。
トラブルマンで殴られてた加藤さんのことを忘れられない私がここを好きじゃないはずもなく……!弱って焦ってパニックになって、エゾケンくんにしがみつく奏くん。
「菊谷さんを…!矢萩奏といえば、わかります!」
隅っこで寝てた和田純が、飛び込んできた青年がかつて「プロレタリア革命ばんざい!」と叫んでいたあの青年であることに気づく。
和田純は「こいつはアカだぞ!!」とデッパ&エゾケンに言って関わらない様にいうも、結局デッパくんは菊谷さんを呼びに行く。
そして駆け付けた菊谷さんに縋り付く奏くん。うわああああ。奏くん……!
集会中に警察が現れ、工藤さんはつかまり、自分はなんとか逃げられたという。
ここで菊谷さんに状況を説明するときの絶望的な表情、叫び。すごかった。
ステージ裏での大騒ぎに、佐藤部長も出演者たちもみんな集まってくる。 
劇場まで警察が現れ、奏くんを引き渡すかかくまうか選択を迫られる。和田純は「こいつを匿ったら全員拷問だぞ!」と止める。一瞬みな迷うものの、エゾケンが「でも目の前にいる人を見殺しにはできない!」という。その声に皆がハッとし、そうだそうだ、と匿うことを心に決める。
佐藤部長も警察のことは嫌いなので、「警察に尻尾振るなんてまっぴらだ!」って感じ。
 
菊谷と劇場の仲間たちは、矢萩に道化の扮装をさせて、警察から匿う。尋問を受け、菊谷はコーラスボーイだとごまかすが疑う特高刑事。
刑事さんは最初菊谷先生の名前を呼び、話しかける。
「工藤卓蔵に資金援助をしているな」という疑い。菊谷先生は「彼は同郷なので」と。
刑事さんに「まあいい、矢萩奏はどこだ」と呼ばれ、楽屋から降りてくる奏くん。
道化の紛争した奏くん、帽子被ってピエロの洋服着て、ほっぺたに雫💧を2つ貼ってた!かわいい!
菊谷先生がとっさに「新人、浅草エフリィだ!」って言うんだよね。それでも疑い続ける刑事(それはそう)(この特高刑事は冒頭で出てきた革命主義者の仲間の工藤さん役のかた)
じっと握りこぶしを作ったまま動こうとしない奏くんに「歌え!」という和田純。「刑事さんたちにお前の歌を聞かせろ」と。この場を乗り切ろうととっさに動ける和田純。和田純、全編とおして結局なんだかんだ憎めず……でした。なんつーか、人間臭かった。
菊谷先生にも「歌いたまえ!」と言われ、ゆっくりと、歌いだす奏くん。
 
仕方なく歌を披露する矢萩。故郷で合唱部だった矢萩の「My Blue Heaven」の歌声はすばらしかった。
最初、ほんとうに嫌そうなんだけど、歌いだすと皆がその歌声のうまさに驚く。
この、「歌声が素晴らしい」という役、正直どういう感じになるんだろう?と思っていたけれど、そこにはたしかな説得力があった。歌があってるのかキーが良いのか。ほんとに、歌いだすとどうしても見ちゃうんだよね。ゾクゾクした。
初日より、1週間後のほうが声が伸びていたように聞こえた。初日より2日目のほうがよかったと思うし。どんどん良くなっていくなあ。
 
警察から無事守り抜かれた奏くん。箱にこしかけてしょぼんとしてる奏くん。背中が丸くなってるのがかわいい。
佐藤部長と菊谷先生に「しばらく下宿にも学校にも行かないほうがいい」「ここで寝泊まりしていいから」と言われる。奏くんはもちろん固辞しようとするものの、菊谷先生的には同郷で同士だし見捨てるわけにはいかず。
佐藤部長が話の流れで「戦争ももうすぐそこに来ている」というようなことを口にすると、奏くんが「お言葉ですが!」とそれに噛みつく。
「戦争はもう始まっています!こうしている間にも、農家の次男坊三男坊が兵にとられ、」
興奮して言葉を続ける奏くんを菊谷先生がなだめる。
「矢萩くん、まずはお礼をいうんだ」
ぎゅっと口をつぐむ奏くん。佐藤部長は「いいんだ」という。
ちょっと曖昧だけど、、、「そうやって戦う人も必要だ」「そして大衆文化は、戦わないという戦いをしている」というようなことを言っていたかな。
そこに夢子ちゃんが包帯と薬をもってやってくる。
太ももの怪我の手入れをするから、ズボンを脱いでください!と夢子ちゃんに言われて「え、」としどろもどろになる奏くん。ほんとにズボン脱ぐ奏くん。
まじで?!
NEWS STORY SHOWでズボンが脱げちゃったときと同じ形で、上に着てるものの裾が長いから下着は見えないんだけど、脚めっちゃ見えてびっくりしちゃった。おみ足。
 次から次へといろんなひとが薬と包帯、そして食べ物を持ってきてくれる。
佐藤部長か菊谷先生が「薬屋が開けそうだな」とコメント。
微笑ましかった。本当に、良い人たちなんだな、この一座は。
「よし、いっそのこと今日はみんなでいよう!」と盛り上がるのに、ついていけない奏くん。
綾子ねえさんか乙女ねえさんかが、「エゾケンちゃん」って言ってた気がする。かわいい。
エゾケンが「こういう夜は一人でいちゃいけないんだ!」という。そして自分が震災で親兄弟すべて失ったことを話す。エノケンさんに拾ってもらわなければどうなっていたか。そういう境遇の彼だからこその言葉の重み。
「いっそ、鍋しない?!」「いいねいいね!」で宴会をすることになる一座。暖かくて、楽しそう。
そして鍋するために移動しようとして、肩を貸す夢子ちゃん。肩を借りて立ち上がる奏くん。感極まってなにも言えなくなって、お辞儀をする奏くん。まあるくなった背中をドン!と叩くエゾケンの表情の、優しいこと優しいこと。
夢子ちゃんの肩借りる奏くんかわいかったな。たぶんちょっと遠慮してたよね。それをぐいっとひっぱる夢子ちゃん。このころまだ、夢子ちゃんのほうが強いのがかわいい。
 
宴会をしようとみなが捌けていったあと、デッパくんが持ってきた肉まんを忘れたので取りに戻ってくる。そこに現れるおタキさん(清掃のおばさん)。
奏くんのためにお芋を持ってきてくれたおタキさん。
デッパくんが「これからみんなで鍋をするんだ。おばさんもおいでよ!」となんのためらいもなくおタキさんにそう声をかけることにじんときたな。上も下もなくて。しみじみと、素敵な人たちだな、と思う。
おタキさんが「私の手は便所掃除で汚れてるから、一緒には食べれない」って固辞するのが切なかった。
おタキさんはデッパくんのことを「デッパ先生」と呼ぶけど、デッパくんは「自分に先生なんてつけなくていいよ」という。
「親に『どこかで生きていてくれ』と追い出されたのがあたいだよ」
デッパくんも親に捨てられたようなもので、ここに来たのだと。
おタキさんはデッパくんに、蓄音機を慣らしてるときに毛虫が踊ってましたよ、と告げる。
「毛虫が……え?!」
驚くデッパくん。蓄音機をならし、毛虫の入っている箱を覗き込むとたしかに1匹リズムにあわせて踊っている。デッパくん大喜び。そんなデッパくんを観ておタキさんもうれしそう。
 
女性陣5人(ベテラン女優2人、踊り子2人、夢子ちゃん)が箱に腰かけたり立ったりする前に、正座させられる兵吉くん。
乙女姉さんは「奏はまだレビューを観に来ないのかい?!」と怒る。鍋のときに、観に来なよ、と声をかけたら「はい」と言ったのに10日経ってもまだやってこない。
兵吉は「体の傷は治ったんですけどまだ心の傷が……」とやんわりいうんだけど、そこで反論するのが夢子ちゃん。
「それならなおさらのことレビューを観たほうがいい。だって、菊谷先生が言ってた。レビューは薬だ、って」
言ってた!と盛り上がる女性陣。
「よぼよぼのおじいさんだって元気になって帰る」
乙女姉さんが、夢子ちゃんに屋根裏に引きこもっている奏くんを呼びに行かせる。
ちっちゃい踊り子ちゃんが「学生ってのは一度はアカにかぶれるんですよ。元恋人がそうだったんで」踊り子ちゃんの金で食べていたくせに「レビューなんてくだらないものやめろ」と怒られていた踊り子ちゃん。
綾子さんは勘当されてここにやってきた。乙女さんいわく、「親の言うことを聞いてたら、いまごろは良い暮らしをしていた」という綾子さん。
でも綾子さんは「女は家の道具じゃないよ!」ときっぱり宣言。
もう一人の踊り子ちゃんが「わかります!私も貧乏で、尋常小学校の途中で奉公に出されて、でもそこから逃げてきた(?)。それで浅草でモデルをしていた」。
兵吉くん「モデル?」
踊り子ちゃん「決まってる、ヌードよ」「……女が金を稼ぐなんて、身を売るしかないでしょ」
乙女姉さんが「ここは流れ流れついた吹き溜まりさ」という。「ここに来たくてやってきた、あいつ(夢子)みたいなのは珍しいよ」
でも、兵吉くんは「風向きはだんだん変わってきてます!いまや、健全な人たちがレビュー小屋で働きたいと思うような場所になってるんです!」っていう。その言葉は、ここで自分の意志ではなく働き始めた人たちにとってはうれしかっただろうな、と思った。
そんなこんなで、夢子ちゃんに呼ばれて出てくる奏くん。温泉旅館みたいな浴衣着て出てくる!!!首にタオルかけて。のっそりしていて幽霊みたいだった(ていうか幽霊みたいだ、って言われてた)
顔を洗って来いと言われてのそのそと顔を洗いに行く奏くん。ちょっとぼんやりしているのが、まだ、地に足ついてない感じがして切ない。
夢子ちゃんに「どんぶり飯は食べてますよ!!」とチクられる奏くん。笑 食欲ちゃんとあるの、微笑ましいな……若いからお腹すくんだろうな……いっぱいお食べ……。
夢子ちゃんに「あの図体であんだけ食べてれば大丈夫です!手荒くいきましょう!」と言われる奏くん、笑った。「あの図体」。笑 加藤さんって丈夫そうでいいですよね。
そんで顔を洗ったあと、ぬるっと屋根裏に戻ろうとするのを引き留められる(それはそう)。
乙女姉さん「なんでレビュー観に来ないんだい?」
女性陣5人に囲まれてやいのやいの言われる奏くん。逃げ回って箱の上に上ってるのかわいかった~。
奏くん「それは……いろいろ、思うところあって……。勘弁してください!」
しかし夢子ちゃんはひるまない。
夢子ちゃん「それでいいんです!レビューには、いろいろな思いを抱えた人がやってきます。そして終わるころには、そんなことすっかり忘れてます!」
そのあとも「なんで観に来ない?私たちに魅力がないの?」と責められ「そんなことは……兵吉さん!!」と助けを求める奏くん。でも兵吉さんも「これは、無理ですよ」と笑ってる。兵吉さんもレビュー観てほしかったんだね。
ついに観念した奏くん。
「見に来る?」と聞かれ、小さい声で「はい」と答えるも、声が小さい!と言われて大きな声でやけくそ気味で返事する奏くん。かわいい。
どっかの立ち回りで箱の上からトンって飛び降りてた。草履薄いだろうに骨大丈夫か?
 
奏くんがレビューを観ているシーンはないんだけど、観に行った奏くんがどうだったかは兵吉くんが 教えてくれる。曰く、「幕間に客席に行ったら、眉間に皺寄せてました」。
それを聞いた佐藤部長と菊谷先生は「やっぱりだめか……」っていうんだけど、実は、後半はノリノリでスイングしているらしい奏くん。
「「スイング?!」」
スイングしてるとこ見たいが…?!
このとき兵吉くんと菊谷先生と佐藤部長でお話してるんだけど、別のところではデッパくんとエゾケンがコント?漫談?を演じてるのが見える。
奏くんが観ているということもあり、劇団みな大張り切り。
なのに和田純は酒を飲みながらピアノを演奏していたことをお客さんにやじられ、乱闘騒ぎになる。和田純は結局腕を骨折。公演は途中で中止になってしまう。
 
大騒ぎの公演後から一転、静かな舞台。奏くんがそっと入ってくる。そしてそこにやってくる夢子ちゃん。
和田純が出れなくなったので、明日の公演をどうするか決まるまで出演者は劇場で待機することになっていた。
和田純がいなくなったので明日からどうなるの?という話題に。
夢子ちゃんが「大丈夫、浅草は事故に強いの。突然誰かがいなくなっても、劇場は開け続ける」という趣旨のことを目を輝かせて答える(2回目で、これ伏線か…!と思った)。
 
夢子ちゃんに、どうだった?と聞かれ、「ピアノの伴奏が、夢子さんのキーより高かったと思いますよ」という話をする。
夢子ちゃん「たしかに、いつもより歌いにくかった!あいつ~!(和田純)」
奏くんは、ピアノで和音を引いてみる。それに合わせて二人で「リンゴの木の下で~」と歌い始める。美しいハモリ。
的確なアドバイスに夢子ちゃんは大感激。夢子ちゃん、奏くんに抱き着く。奏くんは抱きつかれてびっくりして、一瞬その体に腕を回そうとする……んだけどでも背中に回しかけた指先をピーンと反らせて、その体には触れない。
この指先がすごいかわいい。親指めっちゃ反ってた!!かわいい。おすすめポイント。
夢子ちゃんの台詞も素敵だったな。
「私だけの秘密にしておきたい!」
「でもだめね、こんな才能、隠しておけないわ」
「ねえ、私のこと捨てないでね?」
そんな感じでイチャイチャしてる奏くんと夢子ちゃんを実は見てた菊谷先生。からかう菊谷先生。
夢子ちゃん動揺しながら「どうなりました?!」と尋ねる。菊谷先生は「どうなる?抱き合ってました~」と抱きしめ合う二人をからかう。(これ初日はなかったような)
菊谷先生「ピアニストの代役が見つかったから、明日も幕を開けるよ」
菊谷先生は、奏くんにレビューに出演してほしい、と頭を下げる。それはお客さんのためだった。今日公演が途中で中止になってしまって、それでも「また楽しみにしてる」と言ってくれたお客さんのために、新鮮な演目をお届けしたい。
迷う奏くん。ブルジョワ家庭で育ち、自分だけが裕福な暮らしをしていることに悩み、プロレタリア革命を志してきた奏くんは「音楽は裕福なひとだけが楽しむもの」という感覚と迷いが捨てきれなかった。
即答できずにいる奏くんに菊谷先生が畳みかける。
貧富の差がない世界を作り上げた先に、音楽がなくていいのか。君の作る世界はそんな色褪せたものなのか?
「音楽の才能が詰まっている」と奏くんの胸をたたく菊谷先生。驚く奏くん。
「一宿一飯の恩を返すつもりで、頼む」という菊谷先生。
そして奏くんは舞台に立つことを決意する。
「菊谷先生、夢子さん、僕を救ってくださってありがとうございます」と頭を下げる奏くん。明日、みなさんにもお礼を言います、と。
 
二人に与えられた演目は、銀座のマネキン役の夢子ちゃんに恋する青年。菊谷先生の伴奏で流れるように踊り歌い始める。「恋はやさし野辺の花を」
夢子ちゃんの長くきれいな指先からも、奏くんの瞳からもキラキラしたなにかが零れ落ちるような、素敵な演目だったな。
演じ終えたとたんにどこから観ていたのか、わ~!と集まってくる一座の仲間たち。
やいやいの言われながら囲まれてて、戸惑いつつもはにかんでる奏くん。かわいい~。
菊谷先生がとっさにつけた芸名「浅草エフリィ」の由来は津軽弁
津軽弁で「いいかっこしい、気取り屋」が「えふりこき」なので。
そんな気取り屋の奏くん。一座のみんなに津軽弁でお礼をいう。方言使ってるのかわいい。
そしてずっと期待していた、「踊る毛虫」が出てきたこともこのタイミングで発表👏盛り上がり踊り歌いだす面々。
最後の決めポーズのとき、見つめ合って二人だけの世界になってた夢子ちゃんと奏くん。
==ここまで前半==
 
幕間、ステージ上に影絵で毛虫がずっと歩いてておもしろかった。
 
==ここから後半==
休憩中に、お隣のかたと「女性に慣れてないのが可愛いですね~」と話してたんだけど、そうしたら2幕しょっぱなから「東洋一のモダンボーイ、浅草エフリィ」 が出てきて心臓わしづかみにされてしまった。
エフリィと夢子ちゃんの演目は大人気になる。
演目が終わって楽屋に戻ってくる面々。そこにエフリィが「お~つかれ~~!」と飛び込んでくる。ぴょーんって。
すごかった。もうそこから目が離せなかった。この人の変わりよう…!オーラと顔つきが全然違う。
基本的に奏くんは登場シーンから姿勢がいいんだけど(加藤シゲアキさん自身より姿勢いいと思う、意識してそう)、そこは変わらないのに立ち振る舞いが全然違うの。前半と。いや~~びっくりしちゃったな。人はギャップに恋するっていうそれですよ……。
踊り子ちゃんたちともすっかり仲良くなっていって、一緒に「いえ~~~い」って腰振ってたな……これが兵吉くんが言っていたスイングか……。
踊り子ちゃんの耳元で「き・ん・つ・ば」とささやく奏くん。おお……
「俺、パイが食べたいな。大きなパイ」
「干し葡萄、食べちゃう……(ささやき声)」
楽屋に差し入れ運んできた丁稚の二人にブロマイドにサインを求められ、応じる奏くん。めちゃくちゃ売れっ子。
「エフリィこいてま~す」と客席に向かってチャンカパーナポーズを繰り出すエフリィ!!!!! ほっぺたが柔らかそう。
ブロマイドほしいな…グッズで出してほしかった…。
前半と後半で加藤さんの動きや表情が全然ちがって、ああ、奏くんはやはり音楽を愛していたんだ、それを取り戻していたんだ、とわかる。それをわからせる説得力! いやほんと加藤さんすごいな…。言うなれば成亮とシゲアキなのかなぁ。
 
みなを笑顔で見送ったあと、急に真剣な顔つきになって、はめていた白手袋を、まず口で指先を食んではずし(←超超よかった。1000回観たい)、もう片側は手で取る。
そこに現れる夢子ちゃん。目を合わせた二人は、きょろきょろと辺りを見回してからはたと寄り添う。
一座にばれないように秘密の恋をはじめた夢子ちゃんと奏くん。
「かずえ」「なでさん」と呼び合う二人。
どこで待ち合わせよう、じゃああそこね、とイチャイチャしているところを、ピアノの陰に隠れていた和田純に目撃される。
「秘密にしといてやる代わりに、軍のお偉いさんの送別会の場で軍歌を歌え」と恐喝する和田純。
和田純も音大中退で挫折したという過去があり、こっちにとってはエフリィの敵!って感じだけどこの時代の人にしてみればある種当たり前の考え方なのかも。
そもそもがプロレタリア革命寄りの発想をしている奏くんには軍歌を歌うことは考えられず、いくら金を積まれても歌わないと毅然と突き放す。
奏くんの反論は、和田純にとっては「きれいごと」だったんだと思う。腹を立てた和田純に「お前は矛盾だらけだ!」と言われる。
貧しい人が苦しむ社会を革命したいという想いと、華やかなレビューで踊り歌い人を魅了することに折り合いがつけられてないことを見抜かれ、動揺する奏くん。
奏くんはヤケになって、インターナショナル(革命歌)を怒鳴るように、目を真っ赤にして歌い始める。
そこにたまたまいた?様子を観に来ていた? 特高警察に絡まれる奏くん。
一座の機転で、「浅草エフリィが革命主義者で悪者役で、これをこらしめるストーリーなんです!」ということにしてごまかす。特高警察に「警察役はこいつ(エフリィ)にしろよな」などと言われる。
なんとかやりすごすんだけど、「もうここにはいられないです」と苦しそうな表情をする奏くん。
「調子に乗りすぎました」
「だって、この僕が、軍に呼ばれるなんて!」
「社会を変えたいはずだったのに」
でもそこで、苦しんで感情を吐露するのを見ている菊谷さんが、すごく優しい顔をしていて……。この人もいろいろ乗り越えてきて、覚悟をしている人なんだなと思った。
菊谷先生は「君がそういうなら、しかたない。君は十分一宿一飯の恩を返した」って優しく言うんだけど、その優しさもつらかったのか、奏くんは菊谷先生にすがりつく。
 「菊谷先生だって、悔しくないんですか?!」
「せっかく書いた脚本を検閲で何度も書き直しを命じられて。なにも抵抗できていないじゃないですか」
感情をぶつける奏くんに、やがて、菊谷先生も激しい感情を露わにしていく。
「悔しくないわけないだろう」
いつも優しくみなを見守る菊谷先生の激しい感情。
「でも、ぼくたちは抵抗していないわけじゃない」
「何度書き直したって、こうして劇場の扉を開け続けている」
「抵抗しないのは、劇場の扉を閉めることだ」
「警察だってばかさ。どんなに書き直されたって、僕のテーマは変わらない」
「それは……自由だよ!僕たちは、いつどんなときも自由にここで生きている!」
「僕は、大衆演劇という言葉も嫌いだ。どこか馬鹿にしている響きがあるだろう」
菊谷先生の深い強い覚悟。菊谷先生は本当に、すごい……。
 
舞台上にエフリィと夢子ちゃん2人きりだけになる。
夢子ちゃんは努めて明るく話をする。
「いまのレビューは、短い音楽やコントをつなぎ合わせてるでしょ?そうではなくて、1本のストーリーをやりたいって菊谷先生が言っていた。ミュージカルって言うんですって!」
それでもエフリィはまだ立ち直れていなくて、舞台のすみっこに座って、緞帳(?)かぶって背中を丸める。初日は背中がちょっと見えててかわいかった。2日目はちゃんと全部隠れてた。
そこにやってくる、おタキさん(清掃のおばさん)。エフリィがいることには気づかず、夢子先生に話しかける。
「もう浅草エフリィ先生と夢子先生の舞台は観られないんですか?」と、本当に、悲しそうに。
「客席から観たことはなかったけどいつも聞こえてくるのを楽しみにしていたんです」
「こんなことなら、母の形見を売ってでもチケットを買っておけばよかった……」
自分を待つファンの声を聴いて、すっと立ち上がるエフリィ。そこにはもうさっきまでの迷っている青年はいなくて、奏くんではなくて、「浅草エフリィ」だった。
ピアノの上の花瓶から赤い薔薇を一輪つかみ、びっくりするおタキさんの前にかたひざをつくエフリィ。そして薔薇の花をおタキさんに差し出し、それはそれは美しく、微笑む。
「浅草エフリィは、明日も明後日も、その先もこの舞台で歌い続けます」
「明日、あなたのために一等席をご用意します」
薔薇を受け取ろうか迷って彷徨ってしまうおオタキさんの手を取り、その手の甲に口付けし、薔薇を受け取らせる。おタキさんは感極まり、両手をあわせてエフリィを拝む🙏
このシーン、本当にすごく良かった。おタキさんはファンで私たちで、浅草エフリィはシゲで、もう構図そのまんまで。
シゲが、いろんな選択肢があったなかでNEWSとして歌い続けることを選んでくれたことを思い出して泣いてしまった。永遠なんてないとしても、いまひとときの夢としても、いまこのときだけでもそう思ってくれていたらうれしいし、きっとそう思ってくれているだろうなと思えて。
おタキさんは私たち。おタキさんはファンの鏡だった……。
 
菊谷先生が言っていた「レビューで革命を起こす」「弱者の生きる糧に」ということを、おタキさんの言葉で実感した奏くん。
また立ち直って覚悟を決めた奏くんと夢子ちゃんの顔が近づいて、重なった。
とても美しいシーンだった。
 
一回暗転したあと、再び舞台上にエフリィと夢子ちゃん。
エフリィの誕生日に、銀の櫛を送る夢子ちゃん。
夢子ちゃん「初めてあったときからずっと気になってたの。いつも寝ぐせだらけだなって」
エフリィ「俺、つむじが2つあるんだ」 ←いたずらっこみたいな顔。
夢子ちゃん「え、ほんとう?!」
エフリィが箱に腰掛け、その後ろに立ってエフリィの後頭部を見る夢子ちゃん。
エフリィ「ここと、このへんかな」
自分の後頭部を指さす奏くん。
この会話超かわいかった。このあとのことを知っていると、つかの間の夢のような時間でしかなくて、切ない気持ちになる。
奏くん「ねえ、いつか、ミュージカルをやろう!菊谷先生に脚本を書いてもらって、俺と、君で」 
夢子ちゃん「あなたはいいけど、私は、無理よ…」
奏くん「いいの? ほんとうに」
夢子ちゃん「……いや!主役が良い!」
このへん、完全にエフリィのほうが引っ張る側になっていた。前はあんなにおどおどしていたのに……。本当にいろいろな奏くん、加藤さんが観られる舞台だ。
私たちが当たり前に観ているミュージカルがまだない時代なんだな。いろいろなものが積み重なっていまの演劇があるのだと思うと感謝の気持ち。
奏くん「ビフテキ食いに行こう!」
夢子ちゃん「食う!」
 
場面は変わり、デッパくんが踊る毛虫(バレンティノ)が いなくなったことをしくしくと悲しんでいる(後半始まってすぐに、毛虫がいなくなってしまったシーンがある)。
そんなデッパくんと彼のそばにいるエゾケンに、脚本の直しをしていた菊谷先生が声をかける。
いつか話した「踊る毛虫」は、現実ではなく、物語だっただ、と。
そんなあ、とショックを受ける2人。
でもこの踊る毛虫の物語には続きがある。毛虫は蝶になって飛び立ったのだ、と。
それを聞いてデッパくんも大喜び。ヴァレンティノは蝶になったんだ!
喜ぶデッパくんを微笑み見守る菊谷先生。
「劇場は奇跡が起こるんだ」
「この毛虫の話を次の公演に入れようと思っている!ダンスを考えてくれ!」
この一座のひとは菊谷先生に守られているけれど、菊谷先生にも一座の仲間たちが支えなんだろうなあ。
「よし、飲みに行こう!アイディア出ししてくれ!」と言って3人連れ立って飲みに行く。
 
 場面代わって嵐の夜、和田純が一座の楽屋を突然訪ねてくる。
「どうしたんですか?」と現れる奏くん(スーツ姿!!!)に、和田純が「いますぐ夢子と一緒に逃げろ!!」という。夢子は工場で働いていたという話になっていたけれど、実は、広島のヤクザの2代目のお抱えもの、妾だった。そしていま、夢子を探す手が浅草まで伸びている。
「夢子の下宿知ってるんだろう? 今すぐ向かえ!」
私は最初、「和田純、だまそうとしてるのか?!」と思ったけど、そうこうしてる間に身支度をして荷物を持った夢子が出てくる。
夢子ちゃんは毅然と「さよならを言いに来たの」と告げる。覚悟した声。
「残念だけど、フィナーレだわ」
彼女はきっと、前々から「いつかこの日が来るかも」と思っていたからか毅然としていて、ここでは奏くんのほうが弱っている。
出ていこうとする夢子(本名:吉田和枝)に、「かずちゃん、かずちゃん」と悲しそうな声で呼びかける奏くん。
「本当に、もうだめなの?」という奏くん。
かわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!
にゅすこいでもほっとんど読めなかった、加藤さんの女の子ちゃん付けがこんなところで……。ありがとうございます。
夢子ちゃんだった去っていくことが悔しくない、悲しくないわけなくて。
「夢の途中だったけれど、ここを去る。でも、心はここに置いていくわ!」と高らかに宣言。
最後に一曲歌おうという夢子ちゃん。和田純に伴奏を頼むもひょろひょろな音。
夢子ちゃん「最後ぐらいちゃんとやれ!!」 強い
夢子ちゃんの一喝を受け、感情を込めて引き始める和田純。
「やればできんじゃない」と言った夢子ちゃんが『リンゴの木の下で』を歌い始める。
リンゴの木の下で 明日また会いましょう
もうきっと会えないだろうに、この歌詞。切ない。奏くんは最後のほう泣き顔で、全然歌えない。なのに夢子ちゃんはずっと笑顔。
そうして夢子ちゃんは去っていく。その後ろ姿を見て「かずえ!!!!!!」と絶叫し崩れ落ちる奏くん……。
夢の途中、という表現、ジャニウェブで加藤さんが書いてた「僕の夢はまだ醒めなさそう」を思い出した。加藤さんの夢のほうはまだまだ続いていてくれてうれしい。それを追い続けることが、当たり前にできる世界。
 
夢子ちゃんがいなくなった翌日、当然一座は大パニック。
今日は幕を下ろそうかと話す佐藤部長や兵吉くんに対して、今日も劇場の扉を開け続けるべきだ、と説得する奏くん。すでにタキシード姿。
今日もここに夢子ちゃんはいる、夢子ちゃんは心を置いていったから。
劇場の扉を開けるために、自分にできることは何でもする、という奏くんに心動かされ、今日も幕を開けることを決意する一座の仲間たち。
奏くんの説得もあるけれど、夢子ちゃんが本当にここを愛していたことをみなが知っていたから、急にいなくなったことも彼女の意思ではないだろうことを推測できたから、みながこうやって一丸になれたんだろうな。ほんとに、いい仲間たちだ。
じゃあ準備しよう!といったん解散。
奏くんと菊谷先生が残る。
菊谷先生が奏くんに「君は、大丈夫なのか?」と聞く。彼女と付き合っていただろう、と。
奏くん「気づいていたんですか」
菊谷先生「そりゃあ気づいているよ。2人の演目の雰囲気がある日を境にガラッと変わったから」
分かりやすい奏くんと夢子ちゃん。みんな微笑ましく見守ってたのかな~。
ばれていたことに恥ずかしがりながらも、「大丈夫では、ないです」と苦しそうに続ける奏くん。
でも自分は、最後に夢子ちゃんと会っていて、そのとき、彼女は心をここに置いていくと言っていたから。だから自分はこの舞台に立つのだ、という。
この悲しさを救ってくれるのもまた、音楽。
踊り子ちゃんの一人が泣きながら現れる。いつか、夢子ちゃんのリボンをいいなあと言っていたことがあったけれど、そうしたらそのリボンが自分のところに置いてあった、と。
泣き止まない踊り子ちゃんの手からリボンを受け取り、その頭につけてあげる奏くん。紳士…!
踊り子ちゃんを泣き止ませようと出っ歯とエゾケンくんが芸をするんだけど(日替わり部分)(初日と2日目は同じだった)、まあ、うん……? という雰囲気になりやっぱり泣き止まない踊り子ちゃん。
そうしたら奏くんが突然横笛を吹き始める。みながハッとする。
(笛で混乱を静める……ハセケン……?)
そして「らっせらー、らっせらー!らっせらー、らっせらー!」と歌いながら踊り出す。菊谷先生にはそれがねぶた祭だとすぐわかり、一緒に盛り上がる。
その楽しい響きと踊りにみなも笑顔になり、らっせらー、らっせらー!と踊りながら全員捌けていく。(ちょっとシュール)
みなを元気づけた奏くんはみなを見送り、舞台に一人きりになる。胸元から銀のくしを取り出す奏くん。
「ずっと一緒だ。……幕を開けるぞ」
くしを持っていてもいつもちょろっと出ていた前髪の右側ひと房を、くしでそっと撫でつける。覚悟を持った顔つき。東洋一のモダンボーイ、エフリィそのものだった。
このクシ、金属回収で手から離れる未来あるのかな…せめてクシだけでも、一緒にいてほしいけど。
 
ここらへんの流れ、「SHOW MUST GO ON」、SHOCKだなぁと思っていたけど、パンフレットの対談で加藤さんもSHOCKの話してた。ですよね!
 
菊谷先生出張中に、革命軍の同士工藤さんがやってくる。奏くんと会わせろと。
やいのやいの言って会談の場を準備する間に、文芸部長がおタキさんに話しかける。
佐藤部長「おタキさん、先日は公演見れたんだね」
おタキさん「その節は、本当にありがとうございました。お弁当までご用意いただきまして」
私たちはエフリィと夢子ちゃんの演目を見ることはないんだけど、どんな風だったかはおタキさんが事細かに教えてくれた。
「こんなに美しいものがあるのか」
「まるでおとぎ話のようだった」
エフリィは約束通りおタキさんにチケットを用意していて、一等席で夢子先生とエフリィ先生の演目を見ることができたおタキさん。それはおタキさんにとっても一生の宝物になった。
佐藤部長「最後に観ることができて、よかったねえ」
おタキさんも夢子先生を心配するけれど、行方知らず。
佐藤部長「無事を祈るしかない」
兵吉くんが工藤さんを連れて戻ってくる。エフリィが「兵ちゃん」と声をかけて人払いを頼む。
兵ちゃんて!!!!!!!!! かわいい。 
工藤さんと奏くんが楽屋で二人きりになる。
工藤さんは拷問された結果か、足を引きずって杖で歩いている。そして奏くんを責める。獄死した仲間たちのことをどう思っているんだ、と。工藤さんは冒頭登場したときからずっと、レビューのことを何の薬にもならないと思っている。
工藤さん「革命への炎は消えたのか!」
奏くん「活動への炎は、消えました。僕はいま、レビュー人として、命がけで舞台に立っています」
登場したとき工藤さんに率いられていた奏くんは、でも、工藤さんにはっきりと、レビューに出続けることを告げる。
「僕はここで世界を変える。革命を起こす」と言い返し、工藤さんが持ってきた仲間の血判書に、自分も指を切ってそこに血判を押す。
しびれた…!迷い、流され、別れを経験した奏くんに、たしかに覚悟が芽生えていたことを知った。かっこよかった。
菊谷先生がかつて、3人の地元の新聞(東奥日報)に寄稿した文章を諳んじる奏くん。
この寄稿文読みたいな…どっかで読めるのかな。
工藤さんは忌々しそうにその場を去ろうとするんだけど、奏くんは「待ってください工藤さん!これは、僕たちの地元の新聞に菊谷さんが寄せた文章です!」と引き留め、最後まで聞かせる。最後まで聞いてもらったらもう出てけと言わんばかりの態度。笑
工藤さんは、今度こそ、足を引きずり、去っていく。
「工藤さん、どうか、お元気で」
かつての同士にそう頭を下げる奏くん。
 
荒々しくピアノを弾く菊谷先生。夢子ちゃんがゆっくりと出てきてひらひらと舞う。
と、奏くんが出てくる。
ウイスキーを飲むことにする2人。
菊谷先生が故郷に帰るという。
奏くん「ご実家でなにかあったんですか?」
菊谷先生「召集令状が来た」
奏くん「?!」
それほど若くもないし、まさかこの年で、と親も役所に確認したらしいけど、間違いなく菊谷先生だったと。
動揺くる奏くん。でも、すぐに、力強く、劇場の扉はみんなで絶対に開け続けると菊谷先生に誓う。
菊谷先生の意思が奏くんに伝わっていて。切ないながらも嬉しそうな菊谷先生。
奏くん「菊谷さん。僕に、音楽を取り戻させてくれてありがとうございました。あのとき菊谷さんに出会っていなかったら、僕の心は凍り付いたままでした」
頭を下げる奏くん。
菊谷先生「君のお母さんに感謝しなくてはな。君に音楽を授けてくれてありがとう、と」
「君のお母さんは君がこうしていることを知っているのかい?」
奏くん「いえ、早稲田で建築をやっていると思っています。そういう手紙を送っているので」
それを聞いて声も出せないほど笑いだす菊谷先生。
奏くん「そんなに面白いですか」
菊谷先生「僕も、そうだったよ笑!」「君のお母さんに本当のことを言ってもいいかい?」
奏くん「え?!母にですか?先生が言ってくださるなら…」
菊谷先生「浅草エフリィのブロマイドを持って行こうかな。きっと驚くぞ。1番いいのを持ってくれ」
エフリィが階段を登って控室に消えていく。その後ろ姿を優しく見守る菊谷先生。
  
菊谷先生の帰郷の日の朝。
いまや志願兵として兵士になっていた松井天声さんも見送りにやってくる。
みなが「絶対生きて帰ってきてくださいね」「銃が当たらないとこにいてくださいね!」などと言うのを当然松井さんは怒る。
それをまあまあと取りなすのは菊谷先生で。いやほんと菊谷先生人が出来すぎてて、みんな好きになるよ…
加藤さんが菊谷先生やるのも見たい。けど、戦死してしまうんだなぁと思うとめちゃくちゃに悲しいから今回は奏くんでよかった…という気持ちもある。
 
そこに和田純現れる。
「練習しといたぞ」とジャズピアノを弾き始める。菊谷先生は和田純に「これからはクラシックじゃなくてジャズだ!」ってかつて言ってたんだよね。和田純的にはたぶんそれは本来自分のやりたいことではなかったんだろうけど。でも練習してくれた。いいやつじゃん和田純…
和田純はなりたいことができなかった人だから、思想を貫こうとする人のことは嫌いだろうけど、奏くんの命は何度となく救おうとしてきた。それを「根はいい奴」と言っていいかは微妙だけども、でも、あの時代には同じようにたくさんの和田純のような人たちがいたんだろうな。
 
和田純の演奏でエゾケンとデッパくんの毛虫の新演目。
毛虫役のデッパくんが途中で倒れ?それを運ぶエゾケン。そのタイミングで菊谷先生以外が捌ける。驚く菊谷先生の前に、たくさんの青い蝶が、ぶわっと舞い上がる。(落下物あり)
そして突然、青い蝶に囲まれ、どセンターから!!!白のタキシード来たエフリィが!!バーーーンと!!ひいいい。かっこいい😭
女優4人を引き連れて踊るエフリィ。堂々とした佇まい。オーラ。かっこよかったなあ。
そうして最後、菊谷先生を見送る。
エンディングに、みんなで「私の青空」を出演者一同で歌う。
「狭いながらも楽しい我が家」
最後のフレーズでセットが開いてバァッと青空が広がる。
悲しい悲しい別れがたくさんあって、個人ではどうしようとないこともあって、それでもみんなが笑顔で明るく歌っている。明るければ明るいほど切なく悲しい。そしてとてもかっこいい。いい話だった。
 
矢萩くんが出ずっぱりかというとそうでもなくて。人間関係が面白かったし、それぞれの人にそれぞれのストーリーがあるんだなぁと思った。おタキさんにも、天声さんにも。
 
カーテンコールの走り方がトタトタしててかわいい。あれはなんだろう?足が跳ね上がってるのか?「横へ開け」のときああやって走るイメージ。
初日と2日目は、4回目出てきて、マイク通さず「ありがとうございました」そしてなげちゅーーー!指先からも瞳からも、キラキラ輝いたものが放たれていたよ。ほんとに素敵だった。
 
メモ

www.plib.pref.aomori.lg.jp

 

↓当時菊谷先生が寄稿した新聞にこの記事が出るの、趣を感じる。

www.toonippo.co.jp